明るくあたたかい文章が人気のメッセージ「関真士のAmazing LIFE」を、WEBコラムとして不定期でご紹介しています。
今回は第10号の全文をご紹介します。
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私たちが受けてきた教育は、多くの場合、減点方式だ。百点という満点が決まっていて、そこからバツの数だけ減点されていく。
そのような教育が、私たちの生き方や価値観に大きな影響を与えているようだ。
いろいろな満点があるが、ある場合には、理想の自分の姿を百点満点としてしまうことがある。そうすると、理想の自分が、現実の自分にバツをつけることになっていく。
まだできない、まだなれない、ここが足りないと、常に理想の百点満点の自分が、今の自分を減点し始めるのだ。
たとえ今日は満点でも、明日はバツが付けられるかもしれない。というより、満点な自分はまれなことで、常にバツが付けられている感覚の方が強いかもしれない。
その減点方式に対して、加点方式がある。それは、自分が今達しているところが満点だという考え方だ。この方式の場合、満点は固定化された点数ではない。3歳の子供の絵は、その時点においては、満点だ。美大の学生の絵と比べて点数を付けることはしないだろう。10歳の野球少年は、その時点で満点だ。イチロー選手と比べて、点数が低くなることはないだろう。
今自分が達しているところが、満点なのだ。バツが付けられることはない。丸しかないのだ。だから加点方式は、常に満点なのだ。40点でも、80点でも、160点でも、つねに加点されていくのだから。
理想の自分を求めるのではなく、今ある自分をベストの自分として受け入れていくのだ。
ベストはベストを生み出す。人間の身体と同じだ。3歳児の身体が健康であれば、つまりベストであれば、そこには成長がある。ベストだからベストが生み出される。加点方式は、常に成長を生み出す力となるのだ。
それでも、何かを失ったり、できなくなったり、壁に当たるときは、バツを付けられていると感じることがあるかもしれない。
しかし、立ち止まるのも、後退するのも実は前進なのだ。私たちの人生の道は、まっすぐに上向きになど決して進まない。紆余曲折を経ながら進む。右に進んでも、後ろに進んでも、立ち止まっても、それでも進んでいるのだ。
そして、今あるその道でベストの自分を生きるなら、その道もまたベストの道になるのだ。無いものではなく、有るものに ある外国からの宣教師が、千ピースのパズルを作ったそうだ。日本が好きで富士山の絵のパズルだったそうだ。長い時間と根気をかけて完成間近になった時、なんと1ピース足りないことが分かった。それも富士山の頂上の部分であった。しかし、せっかくここまで作ったのだからと、糊を貼り額に入れて壁に飾ったそうだ。
ある日友人がやってきて、壁にかけてあるパズルを見たとたん「おかしい! 1ピース足りないじゃないか」と言ったそうだ。
人は、999ピース有るということよりも、1ピース無いということに目が向くものだと、その宣教師は話された。
確かに、私たちは有るものよりも、無いものに目が向くものだ。他者を見る時も、自分自身を見る時も、常に足りない部分に目が向いてしまう。999ピース有るということよりも、たった1ピースが無いということに心が囚われてしまう。これも減点方式の影響だろうか。
見方を変えるだけで、なんと999ピースも有るということに気づく。私たちは、無い部分ではなく、有る部分に目を向けたいものだ。
今の自分が満点! 足りない部分も確かにある。それは、これからの成長の伸びしろだ。それも含めて満点!なのだ。
1964年東京生まれ。荒れ果てた10代を過ごし、20歳の時にコックの仕事で渡米し、クリスチャンとなる。その後、27歳で東京聖書学院を卒業し牧師となる。40歳の時にハワイにあるホノルル・キリスト教会の牧師となり現在に至る。家族は、愛する妻と4人の子供。趣味は、料理と茶道。
Illustration by Rutsuko
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