明るくあたたかい文章が人気のメッセージ「関真士のAmazing LIFE」を、WEBコラムとして不定期でご紹介しています。今回は第13号の全文をご紹介します。気に入ったコラムは、このページの最後から、無料でダウンロードしてA4用紙にプリントアウトできます。気に入ったらぜひプリントして周りの方に手渡してください。
男性ならだれでも、わが子が与えられると父親になる。しかし、最初から完璧な父親などいない。子どもが育っていくのと同じように、父もまた父親として育っていく。
現代は、父性喪失の時代と言われる。この社会の歪み、その根底にある家庭崩壊の問題は、突き詰めると父性の喪失にあると指摘する識者もいる。
確かに社会を構成する最小単位である家族、そして家族を育て、養い、守るべき父という存在の危機が、そのまま社会の危機に反映されているように思える。
いきなり、こんなことを書いて、父親の方々に重いプレッシャーをかけてしまったかもしれない。しかし、家族が本当に愛と信頼で結ばれていたら、それこそ地上の天国のような幸福感を味わえるものだ。その幸せをつかみ取りたいと心から願う。
私は、28歳のときに長男が与えられた。産まれた直後のわが子は、産院のベッドに寝かされて足の裏に墨字で名前が書かれていた。ガラス越しにわが子をじっと見つめていたら、本当に目の中に飛び込んできた。目に入れても痛くないとはこのことだとわかった。愛しくて、幸せな瞬間だった。
しかし、私は、どのようにわが子を愛していいかわからなかった。愛は十分にあっても、愛し方がわかっていなかった。
なぜなら私の父は、仕事のためにほとんど家に帰って来ることがなく、また外に他の女性がいたらしく、それが原因で離婚することにもなった。父との触れ合いが足りない自分には、モデルとするべき父親がいなかったのだ。
わが子への愛はあふれるばかりにあっても、実際の愛し方においては、どうすることが愛することなのかがわからなかった。それが、私自身が父親として育っていくスタートであった。
年月がたち、現在は子どもが4人与えられ、長男も27歳になった。私はあるとき、自分のほおをつねって、これは夢か幻かと確かめたことがある。今目の前にある家族の幸せは現実なのだろうか。そう思えるほどに、神さまは、私の家族を祝福してくださった。
その秘訣は何だろう。それは、神さまを、私の天の父としたことに尽きる。
私たちは、お祈りするときに「天のお父さま」と呼びかける。実は、キリスト教会では、神さまのことを、「天のお父さま」と呼ぶのだ。
私は、あるときに、自分はこの天の父に愛されている、神の子どもであることを本気で信じたのだ。そして、父がいなかった子どもとしての自分から、天の父に愛されている自分を生きるようになった。
そうしたら、実の父からは得られなかった愛を、天の父からたくさんいただくことができたのだ。神の子どもとして、育て直していただいたようなものだ。
私自身、今でも父親としての成長の途上にある者だ。でもここまでくることができた。それは、ただただ神の恵みでしかない、だから感謝しかない。
私たちは、確かに父親だ。しかし同時に、父親になっている途上でもある。
大切なのは、自分の弱さ、足りなさを認めることだ。自己防衛のプライドこそ、家族の幸せを最も邪魔するものだ。家族を幸せにできないプライドなど、今すぐにゴミ箱に捨ててしまおう。
家族とは、安心を与える場である。ここに帰ってくれば大丈夫だと思える場でありたい。自分が自分らしく、安心していられる、愛されて、守られて、養われる、そんな安心感を与える父親でありたい。そのような父親であり続けようとする姿こそ、真のプライドではないだろうか。そのために、自分のありのままを認めよう。あなたも、天の父に愛されている子どもなのだから。
1964年東京生まれ。荒れ果てた10代を過ごし、20歳の時にコックの仕事で渡米し、クリスチャンとなる。その後、27歳で東京聖書学院を卒業し牧師となる。40歳の時にハワイにあるホノルル・キリスト教会の牧師となり現在に至る。家族は、愛する妻と4人の子供。趣味は、料理と茶道、サーフィン。
Illustration by Rutsuko
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