関真士のAmazing LIFE【22】愛に生きるため③ 愛することは聴くこと

 

明るくあたたかい文章が人気のメッセージ関真士のAmazing LIFEを、WEBコラムとして不定期でご紹介しています。今回は第22号の全文をご紹介します。このコラムは、このページの最後から、無料でダウンロードしてA4用紙にプリントアウトできます。気に入ったらぜひプリントして周りの方に手渡してください。

 

愛に生きるため③ 愛することは聴くこと

愛することは聴くこと

愛することは「聴く」こと

なぜ私たちは、話を聴いてもらうだけでこんなにも心が癒やされるのだろうか。
なぜなら言葉とは、その人の存在そのものだからだ。言葉を聴くことは、その人の存在を受け入れ、愛することになる。だから聴く時に癒やしが起こるのだ。

日本語には「聞く」と「聴く」がある。「聞く」とは、その言葉を情報として正しく理解することだ。「聴く」とは、その言葉の情報に込められている意味を知ろうとすることだ。
例えば、相手が「私は、昨日、公園で、Aさんに会って、話しました」とあなたに話したとする。その話を「聞いた」あなたの返事は「そうですか」になる。なぜなら、この話の中には、誰が、いつ、どこで、誰と、何をした、という基本的な情報がすべて含まれているからだ。情報としては十分だ。

それに対して「聴く」とは、その情報に込められている意味を知ろうとすることだ。相手が伝えたいことは、Aさんに会ってうれしかったということなのだ。そのうれしかったという心の声に耳を傾けることが「聴く」ということになる。
この相手は、今私に何を伝えたいのだろうか、何を理解してほしいのだろうか。相手は、ただAさんに会ったという状況報告をしているのではないのだ。
この相手は、自分がAさんに会ってどんなにうれしかったかを伝えたかったのだ。なぜならAさんは大病をして、その後どうなっているかとても気になっていからだ。元気なAさんに会えてとてもうれしかったのだ。だからそのうれしい気持ちを分かち合い、一緒に喜びたかったということなのだ。
この場合、相手と一緒に喜んで、初めて話を「聴いた」ことになる。

聴くことは、訊くこと

「訊く」とは、尋ねることだ。尋ねると返事が返ってくる。その返事を「聴く」のだ。「訊く」ことは、相手の心を尊重することになる。だから、それは愛することになる。
愛とは、相手の心を尊び、宝物のように丁寧に扱うことだ。「あなたのために」と言って、自分の方法や価値観を相手に押し付けることではない。
押し付けられる、つまり訊いてもらえない、そして聴いてもらえないなら、それがどんなに「ためになるもの」であっても、そこに愛は感じない。

愛することは、謙虚になることだ。自分には愛がある、だから自分の愛し方は正しいと勘違いして高慢になるとき、その愛は、エゴイズム、自己愛へと変質してしまう。それは、逆に相手を傷つけることになる。
真の愛とは、聴くことなのだ。そのためには、まず訊くことなのだ。相手が何を望んでいるのか、相手にとって何が一番必要なのか「あなたは、どうしてほしいのですか」と訊くのだ。そうして、相手の心にある言葉が引き出されてくるなら、その時その言葉を「聴く」のだ。

訊くことは、利くこと

「訊く」と言っても、根掘り葉掘り、尋問するように訊くのではない。そこには「気を利かす」つまり「利く」という配慮が必要なのだ。
その人が置かれている状況、性格、人生にまで心を向けていくのだ。それは、どこまでも相手の心を尊ぶことになる。
その人は、神に造られた最高傑作品、最高に価値ある存在なのだ。もし、国宝級の茶碗を手にしたら、落として傷つけたら大変だと、丁寧に丁寧に扱うだろう。そのように、相手の人格、言葉、感情を丁寧に扱い尊重するのだ。訊くときには、十分に気を利かせて、決して無理に言葉を引き出そうとすることがないようにするのだ。

その時相手は、この人は私を大切に扱ってくれると分かってくれるだろう。そして安心して心の声を聴かせてくれるだろう。その時、その言葉を「聴く」のだ。 
愛することは、聴くこと。聴くためには、訊くこと、利くこと。心を傾けて聴こう。

マルコによる福音書10章51節(新約聖書)
 

関 真士 ◆ プロフィール

1964年東京生まれ。荒れ果てた10代を過ごし、20歳の時にコックの仕事で渡米し、クリスチャンとなる。その後、27歳で東京聖書学院を卒業し牧師となる。40歳の時にハワイにあるホノルル・キリスト教会の牧師となり現在に至る。家族は、愛する妻と4人の子供。趣味は、料理と茶道、サーフィン。

Illustration by Rutsuko

 
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