明るくあたたかい文章が人気のメッセージ「関真士のAmazing LIFE」を、WEBコラムとして不定期でご紹介しています。今回は第35号の全文をご紹介します。このコラムは、このページの最後から、無料でダウンロードしてA4用紙にプリントアウトできます。気に入ったらぜひプリントして周りの方に手渡してください。
あの人はメンタル強いな…、自分だったらもっと深刻に悩んで落ち込むだろうなと思うことがある。
同じような状況に置かれても、ある人は泰然自若としているが、ある人は心乱れてしまう。その違いは、どこから来るのだろうか。それは、信頼する力があるかどうかによる。
信頼する力がある人は、人生の困難、苦難を乗り越え、さらにそれを人生のプラスに変えていくことができる。信頼する力とは、人間が生きていく上でとても大切な力だ。
人間が生まれた時、まず最初に学ぶことは“信頼する” ことだ。新生児はまったく無力で最も弱い存在である。自分の力では食べることも飲むことも、排泄も、移動も、着ることも脱ぐこともできない。百パーセント誰かに依存しなければ生きることはできない。赤ちゃんが抱っこされながら、落とされないようにと必死にしがみついていることはない。完全に身を委ね切って安心して眠っている。
しかも、そんな状態であるにも関わらず、おめでとう!と言われ、喜ばれ、みんなに幸せをもたらす存在なのだ。赤ちゃんは、まさに奇跡の存在だ。
人間は、この時期に自分の命、存在のすべてを誰かに任せること、つまり信頼しても大丈夫だということを体得する。
しかし、その信頼が裏切られることを経験する時、信頼する力は弱ってくる。
私が甥っ子を上に投げて高い高いをしたとき、投げ過ぎて天上に頭をぶつけてしまった。考えてみれば、上に投げられて下で受け止められる、それを怖がらずにキャッキャッして喜ぶというのは、まさに信頼し切っている姿としか言いようがない。
私は、それを見事に裏切ってしまったわけだが、甥子はそれ以来私に抱っこされることを怖がってしまった。
親も人間だ。育児ノイローゼにもなるし、どんな時も子どもの信頼に応えることができるわけではない。あるいは、その誕生が喜ばれることがなかったという、そんな辛い状況の中においては、子どもは信頼する力を得ることは難しいだろう。
さらに成長の過程において、他者との信頼関係を結ぶことの幸いを経験することで信頼する力は育まれる。または信頼が裏切られることを経験することで信頼する力は弱められる。私たちの多くは、その両方を経験しながら成長していく。
信頼する力が強い人は、人生の困難、苦難の中でも、嵐の中でもびくともしない大木のような逞しさを持つ。それは、どんなことがあっても無条件で自分の存在を受け入れ守ってくれる大きな存在が常に意識されるからだ。たとえ落ちることがあっても、下でしっかりと受け止めてくれる腕があると信頼しているからだ。
その信頼が決して裏切られることなく、どんなことがあっても、その信頼に応えてくれる存在、そんな存在をたとえ生育の過程で十分に得ることができなかったとしても、私たちには、信頼に足る神がおられる。
私たちが眠れぬ夜を過ごす時も、それは神への信頼が足りないから眠れないのだ、という発想を持つ必要なない。
信頼する力が弱い自分、信頼しているつもりでも不安で眠れない自分、その自分をありのままで受け入れてくださる方がおられる。それが真の神なのだ。
信頼する力とは、自分で頑張って、努力して獲得する力ではない。むしろ信頼する力の弱い自分を、それでもなお愛して受け入れてくださる方がおられる。赤ちゃんが、親の手の中で安心して身を任せて眠っているように、私たちも自分の存在をそのまま神に委ねてしまおう。自分は自分のままで大丈夫だという安心感が、信頼する力を育むのだ。
1964年東京生まれ。荒れ果てた10代を過ごし、20歳の時にコックの仕事で渡米し、クリスチャンとなる。その後、27歳で東京聖書学院を卒業し牧師となる。40歳の時にハワイにあるホノルル・キリスト教会の牧師となり現在に至る。家族は、愛する妻と4人の子供。趣味は、料理と茶道、サーフィン。
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