新生宣教団では昨年から今年にかけて、合計47万冊のウクライナ語聖書を印刷し、発送しました。
今年の7月にノルウェーで行われたカンファレンスでは、ウクライナ聖書協会の方々も参加し、WEBではその証やインタビューを何回かにわたってお届けしてきました。
こちらもお読みください
●ビクトリアさんの証
●ライチネッツ牧師の証
今回は第三弾として、ウクライナ聖書協会のアンドレさんへのインタビューをお届けします。
アンドレさんはウクライナ聖書協会の財務部長ですが、聖書を届ける全ての過程に関わっておられます。
私は、1991年にウクライナ聖書協会が設立されて以来、32年近くウクライナ聖書協会で働いています。財務部長です。
いろいろな仕事をしています。出版や制作にも携わっています。ウクライナ人に聖書を届けることに関わる全てのことです。そして、いくつかの配布作業にも。全ての過程に関わっています。
はい。ウクライナの首都キーウにメインのオフィスがあります。そして地方事務所が3つ。
ウクライナ東部のハルキウと西部のリヴィウです。そして半年間ロシア軍に占領されていたヘルソンです。今は開放されています。
ロシア軍の撤退後に再開しました。面白いことに、ロシア軍は聖書や本は持っていきませんでした。彼らは聖書には興味がなかったようです。でも、彼らはありとあらゆる物を取っていきました。5ドルの壁掛け時計もね。一番安いやつですよ。ただ、手紙を配るのに使っていた大きな印刷機は残していきました。大きくて持っていけなかったんでしょう。それは聖書協会にある物の中で一番高価な物でした。それと聖書協会にあった聖書と書籍は残っていたんです。
もちろん、国が戦争状態にあるのは決して楽ではありません。国外にはウクライナからの難民が600万人いますし、500万人が国内避難民になっています。
それとは別に、何百万人、何千万人かもしれない人々が職を失い、収入を失っていると思います。多くの企業が閉鎖されています。キーウ、ヘルソン、ハルキウ、リヴィウなどの大都市では生活が続いていますが、地方の生活は大変です。
戦前にはあった収入が今はないからです。戦争中の生活は困難です。軍事衝突が領土内であろうと他の場所であろうと関係なく、自分の国が戦争状況下にある中での国民の生活は決して楽なものではありません。戦前から苦労していた人々にとっては、さらに大変な状況であることは言うまでもありません。
私たちは実にさまざまな方法で配布しています。前線に赴きそこで配布したり、破壊された村や、土地を奪還した後、人々が戻ってきたばかりの場所で配布したり。ブチャ、イルピンを奪還した当初からそのようにしてきました。ハルキウ地方が解放された時も、私たちはより多くの聖書をその場所で配り始めました。そして、解放されたイジュームにも行き…といった具合です。
一方、私たちは、配布に協力してくれる他の団体とも協力しています。私たちは彼らのことをよく知っているし、信頼しています。実際に聖書協会の誰かが彼らと一緒に行って配布の様子を視察し、支援者のためにレポートすることもあります。
場合によっては、私たちが知らない宣教団体にも聖書を提供することもあります。もし、私たちの知らない宣教団体が来て、ある場所に配りたいと言ってきたら、私たちはいくらかの安い価格をつけて彼らに販売します。その団体が無意味に聖書を入手したいだけであったり、聖書をどう取り扱うか分からない場合の防御策としてそのような措置を取っています。
もちろん、いろいろな人がいます。実際今でも聖書を受け取りたくない人はいます。ウクライナはかつて共産主義の国でしたから。
32~35年前です。私たちはソ連の一部であり、共産主義イデオロギーの内にいました。
聖書を受け取らない人々は、旧ソ連に戻ることを夢見ている人たちです。彼らはどんな宗教も好みません。しかし、そのような人々はどんどん少なくなっています。そして、宗教、キリスト教、神に興味を持つ人が増えてきています。彼らは真理を求めているのです。そのような人たちはもちろん、聖書を受け取ることに心を開いています。そして中には…とても感動的なことに、聖書を受け取ると、ある人は涙を流し…、聖書にキスをして受け取りました。
このようなケースもあります。聖書協会が設立されて以来、私たちは1,000万冊以上の聖書を配布してきました。ウクライナ全土をカバーしたつもりでした。そして毎年、今年が聖書を配布する最後の年だと言ってきました。なぜなら、すべてがデジタル化していく中で、紙の聖書は誰も手にしなくなり、誰も興味を示さなくなるからです。
それなのに今でも、聖書を手にしたことがなく、生涯で聖書を受け取ったことがないという人たちに出会うのです。聖書とは何か、なぜ存在するのか、そこに何が書かれているのかを知らないのです。
これは驚くべきことです。ウクライナは開発途上国ではありません。発展していて、教育も行き届いているのです。それにもかかわらず、聖書を知らない人がいる。実際、驚くべきことです。だから、私たちには働くための未開の地があるのです。それは素晴らしいことです。
日本の支援者を含め、すべての支援者の皆さんに感謝をお伝えしたいです。そして祈りの課題はウクライナのためにだけではなく、日本人、また支援者の皆さんのための課題も含まれるとよいのですが。そうですね、日本の皆さんにお祈りしていただきたいことは核の脅威から守られるようにということではないでしょうか。それは、特に被爆国である日本の方々と共有できる課題だからです。
ありがとう。
アンドレさんのお話からは、戦争のさまざまな状況下にもかかわらず、多くの人へ聖書を配布したいという熱い思いが伝わってきました。そして聖書にキスをして受け取っていく人々のことを涙を浮かべて語ってくださいました。このような素晴らしい働きに共に携われることを本当にうれしく思います。と同時に、この戦争が早く終わるようにロシアのためにも祈りが必要です。
新生宣教団では、9月にウクライナ語の『マンガ メサイア』を印刷し発送しましたが、一緒にロシア語の『マンガ メサイア』も発送しました。これらの救いのメッセージが人々を変えていくことを信じます。
新生宣教団では引き続き、ウクライナ語聖書のためのご支援を募っています。
現在必要額2600万円のうち、676万円が満たされています(9月末時点)。このプロジェクトを覚えて、引き続きお祈りとご支援をよろしくお願いいたします。
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