聖書の「創世記」ってどんなことが書いてあるの?【図表でわかりやすく解説】

       
  • 2022/6/29
  • 最終更新日:2024/8/28
創世記って何が書いてあるの?

こんにちは、まつぼです!
キリスト教信仰の基とされる「聖書」は、世界中で最も読まれている本として有名ですよね。
「クリスチャンではないけど、聖書は読んでみたい気もする…」と思う方も多いはず。
しかし実際読んでみると、難しすぎるし、字が小さすぎるし、ぶ厚すぎるし、3分でギブ…!そんな方もおられるのではないでしょうか。
そんな方のために、図や表を多めに、できるだけビジュアル的に、そしてわかりやすい言葉で、聖書に書かれた内容をまとめていきたいと思います。


まつぼ
Writer Profileまつぼ

牧師家庭に生まれ育つ。熱血牧師だった両親への反動で、ゆるふわに育ってしまった。 趣味は散歩、パン作り、刺繍など。難解でお堅いイメージのある聖書&キリスト教ですが、文的にも、見た目的にも、できるだけわかりやすく親しんでもらえたらよいなと思っています!

創世記とは?

今回は第一回という事で「創世記」の内容をまとめてみたいと思います。
「創世記」は「旧約聖書」の一番最初に出てくる書物で、モーセによって書かれたと言われる「モーセ五書」のうちのひとつです。
創世記とは?

創世記は50章もありなかなかのボリュームですが、ざっくり分けると、
①この世界の始まりについて と、
②アブラハムをはじめとするイスラエル民族の始祖について が書かれています。

なんで聖書には系図がいっぱい出てくるの?
創世記を読んでいると、途中から急に「人物の系図」がずらずらと出てきて、「これはいったい何?何のため?」と戸惑う方もいるかもしれません。
聖書には、神がアブラハムという人を選び、その子孫であるイスラエル民族(ユダヤ人)との関わりを通して、神の存在と、この世界についての計画を表されたことが書かれています。言い換えると、キリスト教の教えは、誰か一人の人に、ある日突如示された啓示のようなものではなく、ひとつの民族を軸にして、長い年月と歴史の中に示された啓示であり、それが継続的に続いているということが重要なことなのです。
そのため、聖書ではいたるところに「系図」が出てきますし、どんな人が出てきて、その人と神との間でどんなことがあったのかということが、事細かに、具体的に出てきます。

 

創世記の内容をざっくりまとめると

さて、創世記の内容をざっくりとまとめると、こんな感じになっています。

神による世界の創造と原始の物語天地創造1~2章
失楽園3~5章
ノアの箱舟6~10章
バベルの塔11章
神とイスラエル民族の始祖の物語アブラハムの生涯12章~25章
イサクの生涯21章~35章
ヤコブの生涯27章~49章
ヨセフの生涯37~50章
 

神による世界の創造と原始の物語

創世記1章~11章までのあらすじを簡単にまとめると、こんな感じです。

アダムとエバ

1.天地創造

創世記1~2章
混沌と闇であったこの世界に、神は「光あれ」と命じて、この世界を創造された。
空と海、大地、植物、太陽と月、生き物、そして最後に地上の生き物を管理するものとしてアダムを、そしてアダムを助けるものとしてエバを創造された。
こうして創られた世界は非常に素晴らしかった。

失楽園

2.失楽園

創世記3~5章
しかしアダムとエバは蛇にそそのかされて「神のようになりたい」と思い、神から「決して食べてはいけない」と命じられていた、「善悪の知識の木の実」を食べてしまう。
その結果、死と呪いをその身に背負い、エデンの園を追放されてしまった。
やがてアダムとエバはカインとアベルを産むが、その兄弟間において人類初の殺人という忌まわしい事件が起きる。

ノアの箱舟

3.ノアの箱舟

創世記6~10章
やがて地上に人が増えたが、罪が蔓延していた。神はそれを見て人を造ったことを後悔し、人と動物を洪水によって滅ぼすことを決めた。神は、神に従うノアの家族と動物のみを箱舟に乗せて救い、それ以外のものはすべて洪水によって滅ぼされた。
箱舟から降りたノアに神は「このようにことごとく生き物を打つことは二度としない」と約束された。

バベルの塔

4.バベルの塔

創世記11章
人は力を増し、天まで届く塔を建てようとしていた。それを見た神は、その企てを阻むために、人の言葉を混乱させ、言葉を聞き分けられないようにした。そして人を全世界に散らされた。

 

創世記1~11章のまとめと、出てくる人物

このように創世記11章までは、「アダムとエバ」や「ノアの箱舟」、「バベルの塔」など、聖書を読んだことが無い方でも、一度は聞いたことのあるキーワードが多いのではないでしょうか。「ノアの箱舟」は、のちのイエス・キリストによる救済を象徴する箇所であるとも言われています。
創世記1~11章には、この世界が神によって造られたこと、そして人間が神に背き、堕落していったことなどが書かれています。
この創世記1~11章までに出てきた「系図」と、その他登場人物を図でご紹介します。

アダムからアブラハムまでの系図

12章からは少し雰囲気が変わって、イスラエル民族の始祖たちの生涯にフォーカスが移り、彼らの歩みとそれを見守る神の姿が描かれています。こちらもざっくりと見ていきましょう!

 

神とイスラエル民族の始祖の物語

創世記には、特にアブラハム、イサク、ヤコブ、ヨセフと4名の重要人物が出てきますが、この4名はそれぞれどんな人物なのでしょうか。その生涯をできるだけ短くまとめてみました。

イサクを献げようとするアブラハム
イサクを献げようとするアブラハムと
それを止める天使

1.アブラハム

創世記12~25章
神との契約を結んだ「信仰の父」と呼ばれる人物です。
その名前は、もともとは「アブラム」でした。アブラムは75歳の時に、神の召しに従って、祝福の約束の地「カナン」に旅立ちました。
そして99歳になった時に、神から「あなたを多くの国民の父とする」と約束され、その契約のしるしとして「アブラハム」という新しい名前を与えられました。
神の約束の通り、子どもを産めなかった妻サラ(サライ)は、90歳にして念願の子ども「イサク」を産み、アブラハムはイスラエル民族の父となりました。

ソドムとゴモラの裁き
ソドムとゴモラの裁き

アブラハムは、

「アブラムは主を信じた。主はこれを彼の義と認められた。」創世記15:6

とある通り、神の召しに素直に従って、神に行けと言われたところに行き、しろと言われたことをしようとした神と共に歩んだ人物です。

アブラハムの生涯についてのエピソードで有名なものは、「ソドムとゴモラの裁き」(18~19章)や、「イサクの誕生」(21章)、「イサクの燔祭」(22章)などがあります。

もっと詳しく知りたい方はこちらの年表をチェック
アブラハムの生涯
地図で見るアブラハムの生涯
アブラハムの生涯の地図

 
ヤコブを祝福するイサク
ヤコブを祝福するイサク

2.イサク

創世記21~35章
アブラハムの念願の愛息子であったイサク。父親のアブラハムや、息子のヤコブと比べると、ややマイナーな人物かもしれません。
有名なエピソードは、父親であるアブラハムから燔祭(いけにえ)として捧げられそうになったこと(21章)や、リベカという女性との結婚にまつわるストーリー(24章)などがあります。
晩年は双子の息子「ヤコブ」と「エサウ」のいざこざに、心を乱されることもありましたが、土地に種を蒔けば豊かな実りを得、井戸を掘れば水がわき、その井戸を奪われたら別の井戸を掘ってさらに豊かな水が沸き…と、神の祝福のうちに豊かに富み栄えた、比較的穏やかな人生でした。争いを避ける謙虚で穏やかな人柄がうかがえ、「愛妻家」としても有名です。

もっと詳しく知りたい方はこちらの年表をチェック
イサクの生涯

 
ヤコブと天のはしご
ヤコブと天のはしご

3.ヤコブ

創世記27~49章
波乱万丈な人生を送ったヤコブ。「あなたの好きな聖書の登場人物を教えてください」と聞くと、「ヤコブ」と答えるクリスチャンも少なくありません。
双子の弟として生まれたヤコブでしたが、野心家で、巧妙な策略によって重要な権利である「長子の特権」を兄エサウから奪い取ってしまいます(27章)。その結果、実の兄から命を狙われることとなり、若くして孤独な逃亡生活に追いやられることになりました。
逃亡の旅路で石を枕に眠ったところで天使の階段の夢を見たり(28章)、逃亡先の伯父の家で声を上げて泣いたり、伯父の娘ラケルと結婚させてもらうつもりが、姉のレアと結婚させられたり(29章)、意地悪な伯父に良いように使われたり……。

天使と相撲を取るヤコブ
天使と格闘するヤコブ

とにかく何かと波乱万丈な人生なのですが、非常に「人間らしさ」が感じられるヤコブ。
神と相撲を取った(32章)というエピソードも有名で、全力で神に体当たりする彼の人生を象徴しているような気もします。

そんなヤコブは、神様を畏れ尊んでいたため、孤独と忍耐を強いられる中でも神様の祝福が共にありました。忍耐強く成長していくところに、親しみを感じる人も多いことでしょう。
最終的には、長い年月を経て因縁の兄エサウとも和解を果たし、神から「イスラエル」という名で呼ばれ、のちの「イスラエルの12支族」の長となる12人の息子たちをもうけました。
ヤコブの子どもたち
イスラエル12支族の地図
もっと詳しく知りたい方はこちらの年表をチェック
ヤコブの生涯

 
兄弟と再会するヨセフ
兄弟と再会するヨセフ

4.ヨセフ

創世記37~50章
創世記最後の主人公は「ヨセフ」です。ドラマチックという点では、父ヤコブ以上で、その人生はとても数奇なものでした。
ヨセフは、父ヤコブから特に寵愛を受けて育った生意気な少年で、それゆえに10人の兄たちから疎まれ、彼を妬んだ兄たちによって、何とエジプトに奴隷として売られてしまいます(37章)。
エジプトの奉公先ではいわれなき汚名を着せられ、牢に投げ込まれてしまいましたが、神より与えられた不思議な能力のおかげで王の夢を解き明かし、ついにはエジプトの宰相に任命されます。
そして自分を売った兄たちや、弟、父ヤコブとも劇的な再会を果たし、エジプトの国とイスラエル民族を大飢饉から救うという偉業をなしとげました。
どのようなピンチにあっても神に信頼し、神を畏れて従った人物でした。

もっと詳しく知りたい方はこちらの年表をチェック
ヨセフの生涯

 

創世記12~50章のまとめ

アブラハム、イサク、ヤコブ、ヨセフという4人の人物の人生が細かく描かれています。そして彼らに対して神が現れ、不思議な業によって導いてきたという事が書かれています。
創世記12章~50章までの家系図
ヨセフによって飢饉を免れたヤコブとその家族たちが、カナン地方からエジプトに移ったところで創世記は終わっています。創世記に続く「出エジプト記」では、エジプトに移ったヤコブの子孫(イスラエル民族)たちが、再びエジプトから出ることが書かれています。

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創世記まとめ

創世記は66巻ある聖書の書巻の中でも、聖書の世界観や歴史を知るうえで、非常に重要で、基本的な書物です。今回は大まかな「あらすじ」をまとめてみましたが、あらすじが分かると実際の聖書も読みやすくなると思いますので、ぜひ読んでみてくださいね!

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『天地創造』、失楽園、ノアの箱舟、バベルの塔、ソドムとゴモラなどの話をマンガで読めます。アブラハム、ヤコブ、ヨセフ、モーセとイスラエルの父祖たちの物語や、エジプト脱出までが描かれています。[創世記・出エジプト記]
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