①人はいい加減で、わからず屋で、わがままだ。それでも、人を愛しつづけよう。
②良いことをすれば、利己心でしているのだと責められるだろう。それでも、良いことをしつづけよう。
③成功すれば、偽りの友と本物の敵が近寄ってくるだろう。それでも、成功しつづけよう。
④今日の善い行いは、明日には忘れ去られてしまうだろう。それでも、善いことをやりつづけよう。⑤正直で率直に生きようとすれば、傷つくことがあるだろう。それでも、正直で率直でありつづけよう。
⑥大きな考えの人は、小さな心の人に攻撃されるだろう。それでも、大きな考えを持ちつづけよう。
⑦人は弱者をひいきにはするが、勝者にしかついていかないだろう。それでも、弱者のために戦いつづけよう。
⑧長年かけて築いたことも、一夜にして崩れ去ってしまうかもしれない。それでも、築きつづけよう。
⑨助けを求めている人を助けても、非難されるかもしれない。それでも、人を助けつづけよう。⑩世のためにベストを尽くしても、ひどい仕打ちを受けるかもしれない。それでも、世のためにベストを尽くしつづけよう。(ケント・M・キース 「逆説の十カ条」Paradoxical Commandment 私訳)
ハーバード大学2年生のケント・M・キースは高校生の生徒会リーダーを励ますため、150回以上の講演を行った。その時に出版した『リーダーシップの逆説の十カ条』の一部が広まり、マザー・テレサがこれを読んで感動し、「カルカッタの孤児の家」の壁に書いて座右の銘としていたという。
本物の愛は人を救おうとする力である。なんとしても人をキリストに導こうとする情熱である。そのために「どんな障害をも乗り越え、いかなる犠牲をもいとわずに、やりつづける」という神への信仰が必要である。
私はオーストラリア留学中に、無名の路傍伝道者フランク・ジェナーの証しを聞いて非常に感動し、帰国後に文書伝道の働き人になった。海軍船員時代の放蕩生活の後にキリストを信じて救われた若きフランクは、「同じ場所で、同じ時間に、毎日10人に福音を伝えます」と主に約束し、シドニーのジョージストリートで伝道を始めた。
彼は主への約束を忠実に守り、晴れの日も雨の日も嵐の日も一日も休まずに28年間にわたり路傍伝道をつづけた。しかし誰一人としてその場で彼に対して信仰告白をした者はいなかった。
ある時からイギリスのバプテスト教会の牧師が、世界各地で多数のクリスチャンから同じような救いの証しを聞くようになった。「私がシドニーのジョージストリートを歩いていると、ある老人が近づいてきてこう聞きながら福音のトラクトをくれました。『失礼ですが、あなたは救われていますか? もし今夜あなたが亡くなったら、天国に行けると思いますか?』 彼の言葉がどうしても気になって忘れられず、私は祖国に戻ってからキリストを信じて救われました」。
牧師はこの無名の伝道者を探しつづけ、ついにロンドンの病院にいる年老いたフランク・ジェナーに面会した。「私の伝道は実を結ばなかった」と失意のうちに病床についていた彼は、牧師の話に涙を流して喜び、主に感謝をささげたという。フランクはたった一人で実に10万人以上の人々に福音を伝えてきたのである。彼により、直接・間接に、どれほど多くの人が救われたかは計り知ることができない。私も彼の影響を受けて地道に福音の伝道を日々つづけている者の一人である。
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