こんにちは、pontaです。みなさんは、「旧約聖書」という言葉をご存知ですか?「聖書」だけなら知っているけど、「旧約聖書」となると、あまり知らないという方が多いのではないでしょうか?
では、「天地創造」という映画を知っていますか?
この映画は60年代の映画ですが、旧約聖書の最初の物語、「創世記」をほとんど網羅した内容で、筆者の私は小学生の時にこの映画を通して、初めて旧約聖書の世界を知りました。
この記事では、人生の教訓が満載の「旧約聖書」の内容を紹介します。あわせて、「新約聖書」との違いや、旧約聖書を題材にした映画やマンガ聖書も紹介します。
「聖書」は旧約聖書39巻、新約聖書27巻からなる、66巻の書物の集合体です。「旧約聖書」は分厚い聖書の前半部分になります。
この「旧約聖書」は、ユダヤ教とキリスト教の正典です。「旧約聖書」という呼び方は、キリスト教の立場からのもので、「旧約」とは神とイスラエル民族との古(旧)い契約という意味です。ユダヤ教の人にとっては「旧」ではなく、現在もこの旧約聖書部分が唯一の「聖書(正典)」とされています(新約を正典とはしません)。
「旧約聖書」の内容は、神による天地創造から始まって、イスラエル民族と神との関係や、神との約束が記された書物です。古代イスラエル人、ユダヤ人の思想活動や日常のしきたりや規範など、多岐にわたり記載されています。
「旧約聖書」は39の書巻からなっています。原文はヘブル語またはアラム語で書かれていて、約1000年の間に多くの人々が書いたものが集められました。新約聖書を含めると、約40人がおよそ1500年にわたって書いたものと言われています。
面白いのは、書いた人物も職業も、書かれた時代も全く異なるのに、新約聖書も含めテーマが一貫しており、全員が同じひとりの神と、同じひとつの救いの道であるイエス・キリストを指し示しているということです。
前にも述べたように「旧約聖書」は、イスラエル民族(ユダヤ民族)と神との間に結ばれた契約が記されたものです。
ここで言う契約とは、神が選んだユダヤ民族が神の言葉である律法を守るなら、永遠の王国を与えるという約束のことです。この約束は、のちに与えられる「救世主(メシア)」によって実現すると預言(※1)され、旧約聖書は終わっています。
しかし、イエス・キリストが誕生した後の時代に書かれた新約聖書では、この「救世主」がイエス・キリストであるということ。また、ユダヤ民族だけでなく、すべての人類が、このイエスを通して神と「新しい契約」を結ぶことが書かれています。その新しい契約とは、イエス・キリストを信じる信仰によって罪赦され永遠の命(※2)があたえられるということ、またこのイエス・キリストによって、約束された神の国が成就すると書かれているのです。
この新約聖書の「新しい契約」との対比として、旧約聖書を「古い契約」としています。
(※1 預言は「予言」ではなく、神から「預けられた言葉」という意味 ※2 聖書にある「終わりの日」に、信徒が死からよみがえり、永遠に生きるということ)
ユダヤ教の立場では、イエス・キリストを約束の「救世主(メシア)」として認めていないため、まだ「救世主」は現れていないとして、今でも「救世主」が来られるのを待ち望んでいます。そのため、「旧約聖書」は、現在でも唯一の「聖書」であり、行動規範を規定する法として定めています。厳格なユダヤ教徒は、現在もこの規範「律法」に忠実に暮らしています。
キリスト教では、ユダヤ民族の復興を約束する「旧約聖書」を、イエス・キリストの出現を預言するものとして理解しています。
旧約聖書は、大きく4つに区分されています。
モーセが書いたと言われる創世記と律法の書からなる「モーセ五書」、ユダヤ王国の成り立ちや多くの人物が登場する「歴史書」、詩や格言などの「詩歌書」、救世主の到来と世界の終末に関する「預言書」です。
これらの書物に何が書かれているのか、以下にざっくりとご紹介します。
「旧約聖書」の最初の物語が創世記です。神は7日間で世界を創造し、楽園にアダムとエバ(イブ)を住まわせますが、蛇の誘惑によって、神との約束を破ったため、楽園を追放されるという、神の天地創造と人間の隋落が語られています。
カインとアベルの兄弟の話、ノアの箱舟、バベルの塔などの有名な話もこの部分入っており、アブラハム、イサク、ヤコブ、ヨセフなどのユダヤ民族の部族長たちの人生についても描かれています。
創世記から出エジプト記になり、モーセが登場します。モーセは神から召命を受け、ファラオの奴隷状態であったイスラエル人を、エジプトから脱出させます。そして、神が約束した、カナンの地をめざして、40年間放浪したことが書かれています。
モーセが海を割って、エジプト軍から逃げるという有名な物語はこの部分に含まれています。
この時期に、神が人に明示された十の戒めを「十戒」あるいは「モーセの十戒」と言い、旧約聖書における最重要箇所と言っても過言ではありません。
●「十戒」について、くわしくはこちらの記事もお読みください!
モーセの後継者ヨシュアに率いられたイスラエル人が、カナンの諸都市を攻略し移住する物語から始まります。角笛(つのぶえ)を吹くと城壁が崩壊したエリコへの攻略などが有名です。
また、サムエル、ダビデ、ソロモン、デボラ、ギデオン、サムソン、といったイスラエルの指導者たちがどのようにして国家を形成していったかが記されています。
「ヨブ記」「詩篇(しへん)」「箴言(しんげん)」「伝道者の書」「雅歌」「哀歌」が含まれます。
詩篇は多くがダビデ王が作った詩で、箴言・伝道者の書・雅歌はソロモン王、哀歌は預言者エレミヤの作と考えられています。
中でも箴言は「知恵の書」と呼ばれ、多くの興味深い教訓と格言集で、現代の私たちにも多くの指針を与えてくれます。
「旧約聖書」の中で3大預言者と呼ばれているのは、イザヤ、エレミヤ、エゼキエルであり、それぞれイザヤ書、エレミヤ書、エゼキエル書を書いています。
「旧約聖書」では、エジプト脱出以来、(1)民衆が神を忘れて偶像礼拝に走り、(2)それを神が見て怒り、(3)神に選ばれた人物が、神と民衆の間をとりなすというパターンが繰り返されています。預言者もまた民衆に神の言葉を語り続けました。
「旧約聖書」の預言書には、世界の終末と神による新時代の到来を記している物が少なくなく、特にダニエル書の預言は、「新約聖書」に多くの影響を与え、黙示録や四福音書、手紙にも引用され、その記述が引き継がれていると言われています。
この他に、ホセア書、ヨエル書、アモス書、オバデア書、ヨナ書、ミカ書、ナホム書、ハバクク書、ゼファニア書、ハガイ書、ゼカリヤ書、マラキ書の12小預言書があります。
「旧約聖書」は、ユダヤ民族の行動規範、文化的背景をすべて網羅しているものとも言えます。そのため、歴史的、民族的な背景を知らずに読むと、多くの箇所で読むのに退屈で理解しづらい部分があるかと思います。
そこで、初めて旧約聖書にふれる方へ「箴言」をご紹介します。
先にも説明したように、「箴言」は、ソロモンの書と言われ、内容としては教訓集、格言集となっています。
社会共通の法律がまだ制定されていない時代に、人々を教え導いてくれる教訓書は非常に重要なものでした。
書かれている事は、現代の私たちにも当てはまるものがあります。全31章なので、毎日1章ずつ読むのに丁度いい長さです。
「旧約聖書」を題材にした「映画」をいくつかご紹介します。あるいはもうすでにご存知かもしれませんが、改めて観て頂くのも良いかもしれません。
「創世記」を題材にしたスペクタル史劇です。原題が、The Bibleだけに、聖書に忠実に製作が行われています。
「出エジプト記」を壮大なスケールで映画化したスペクタル映画。セシル・B・デミル監督が1923年に手掛けた同様のフィルムをリメイクした作品です。
「十戒」同様に、「出エジプト記」のモーセの誕生からエジプト脱出までを、美しく迫力あるアニメーションで描いた映画です。
これもまたモーセのエジプト脱出を描いた映画です。モーセが神から与えられた「10の奇跡」に焦点を当てて描かれていますが、聖書の記述と異なる部分も多いため、参考程度に見るのがおすすめです。
創世記のノアの箱舟をモチーフとした映画です。迫力ある描写が魅力的ですが、聖書に書かれていない描写や独自の解釈なども多いため、こちらも参考程度に見るのがおすすめです。
旧約聖書を題材とした様々なマンガが作られていますが、特におすすめなのは、日本聖書協会監修のもと「旧約聖書」を聖書に忠実に、丁寧に描かれた「みんなの聖書マンガシリーズ」です。
フルカラーで約300ページなので、普通に読んでも1冊1時間ぐらいで読めてしまいます。とにかく、ざっくり理解したいという方にはうってつけのマンガです。
『天地創造』から始まり、アダムとエバの失楽園、ノアの箱舟、バベルの塔、ソドムとゴモラなど誰もが一度は聞いたことのある聖書の話をマンガで読めます。
アブラハム、ヤコブ、ヨセフ、モーセとイスラエルの父祖たちの物語が、エジプト脱出まで描かれています。
聖書箇所:[創世記・出エジプト記]
モーセに率いられたイスラエルの民はエジプトを抜け、長い荒野での生活を経て約束の地カナンに入ります。
その後のヨシュア・サムソン・ダビデ・ソロモンと、イスラエルの指導者たちの歩み、イスラエル王国の建設、民の繁栄に至るまでの箇所がマンガでが生き生きと描かれています。
聖書箇所:[民数記~サムエル記(一部)]
繁栄とともに堕落し、神から離れていくイスラエルの民。神の言葉は預言者たちにゆだねられます。
イザヤ、エレミヤ、エゼキエル、ダニエル、アモス、ホセアなど、神からの警告の言葉を発し続けた預言者たちが民に与えた希望とは? 難解な預言書がより立体的に、やがて来るメシアへの希望と結び合わされて理解できます。
聖書箇所:[列王記~マラキ書(一部)]
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