「これまで可もなく不可もなく、会社生活を全うしてきました。これからも世間に波風を立てずにのんびり余生を過ごしていくつもりです」
以前、60歳で会社を退職した知人からあいさつ状をもらいました。平凡ですが、理想的な日本人の生き方のような気がしました。こぢんまりと平穏で安全な人生を歩んできた人です。自分の持ち家、預貯金、退職金、年金、生命保険等で、ぜいたくさえしなければ、夫婦二人で何不自由なく暮らしていける体制ができていました。わりと波乱の中を生きてきた私から見ると、うらやましい人生とも思えました。
ところがです。その後、娘が突然離婚して子どもを連れて戻って来ました。事業に失敗した息子から、ひっきりなしに借金を依頼する電話がかかってくるようになりました。家族の問題で大騒ぎになっているのに、毎日家にいて何もしない夫の世話はもう嫌だと、妻から離婚の要求を突きつけられました。それに加えて、自分の兄弟間で相続問題の裁判まで持ち上がりました。度重なる試練に耐え切れず、ある晩、知人は睡眠薬を飲んで自殺してしまいました。
これまで自分で築いてきた小さな鳥かごは必ずしも安全ではなかったのです。長年サラリーマンとして上司の命令に忠実に従うことだけに生きてきた知人には、会社の仕事以外の難しい問題や試練に立ち向かうことができませんでした。もし彼が神を信じて聖書を読んでいたら乗り越えることができたのでは、と思うと今でも心が痛みます。
鳥の王者といわれるワシは、断崖絶壁に巣を作ります。風が強く吹き、気流の流れが激しい場所です。ひな鳥が少し成長すると、親ワシはその鋭いくちばしで、断崖絶壁の巣から突き落とします。まだ飛べないひなは、羽をバタバタさせながらどんどん落ちていきます。しかし、谷底にたたきつけられようとするその瞬間、親ワシが急降下してその大きな翼にひな鳥を受け止め、岩の上の巣に連れ帰るのです。これを毎日繰り返しているうちに、ひな鳥は自分の翼で飛べるようになり、気流に乗ることを覚えて自由に大空に羽ばたくことができるようになるのです。
「ワシがひなを呼び覚まし、そのひなの上を舞かけり、翼を広げてこれを取り、羽に載せて行くように、主はあなたがたを導いた」とモーセは民に語りました。だれでもこの墜落体験をしなければ、力強く羽ばたいて自由に生きることはできません。いつまでも安全で居心地の良い巣の中にあなたがいることを、神は望んでおられません。あなたが空を飛べないワシになってしまうからです。
ですから、神はあえてあなたを困難な状況に追い込むことがあるのです。厳しい戦いの中に送り込むことがあるのです。それはあなたを強く成長させ、神とともに状況を打開し、戦いに勝利させるためです。どんなに追い込まれても、どこまで落ち込んでも大丈夫です。絶体絶命の直前に、神は救いのみ手を差し伸べ、あなたを助けてくださいます。あなたは神の訓練を何度も受け、ワシのように翼を張って大空に飛翔することができるようになるのです。
あなたは今、解決できないような大きな問題を抱えて苦しんでいませんか。やることなすこと失敗だらけで、どんどん落ちていく体験をしていませんか。自分の罪や不信仰に気が付き、もはや神から見放され、、神に罰せられているのだと思っていませんか。ここまで落ちたらもう再起不能だと失望して嘆いていませんか。
そんな時こそ、聖書のことばに戻り、全能の愛の神に立ち返るチャンスです。
墜落体験を神のすばらしい訓練として受け止めましょう。神の大いなる恵みを期待し続けるならば、いまだかつて経験したことがないような新しい力があなたの中にみなぎり始めます。あなたはスズメでもなく、ハトでもなく、鳥の王者、ワシであることに気付くのです。
スズメやハトは自分の力でバタバタと羽ばたかなければなりません。すぐに疲れてしまいます。けれども、ワシはその大きな翼を広げて悠々といつまでも飛び続けることができます。なぜなら、ワシは上昇気流の流れを見分け、それに乗ることができるからです。
どこまでも神を信頼していくならば、あなたはやがて聖霊の力を受けて自分の鳥かごから飛び出し、聖霊の流れに乗って大きな世界を自由に飛翔し続けることができるのです。
神の人類救済の働きには定年や引退はありません。生きている限り、神とともに元気に力強く働き続けることができるのです。時に墜落体験をすることがあるかもしれません。それこそあなたがもっと大きな新しい働きをするための、神の特別な訓練なのです。
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