日本のキリスト教プロテスタント教会の教派(宗派)をご紹介【ざっくり分けると7種類】

       
  • 2022/1/6
  • 最終更新日:2024/1/30

こんにちは、pontaです。

聖書も手に入れた。教会にも行っている。聖書を読み始めた……など、クリスチャンの入り口に立っているあなた、ふと教会の看板を見ていると、「○○教団」とか教会名の前に入っていたりしませんか?
プロテスタントの中にも色々とグループがあって、いま行っている教会はどんな教派なのか、疑問に思ったりしませんか?
実際、プロテスタントの教派は非常に多く、多岐にわたっていますので、一概には分類できませんが、ここでは主な教派について簡単に説明したいと思います。

その前に「プロテスタントとは」という大きな区別に関しては、別の項目で「カトリック」と「プロテスタント」の違いを述べているので、こちらの記事も参考にしてください


ponta
Writer Profileponta

新生宣教団職員 海外の宣教団体との聖書印刷の業務に携わる。

 

なぜプロテスタントには、多くの教派があるのか?

それは、カトリックや正教会の様に、教皇をトップとした中央集権的な発展をすることなく、常にカトリックのアンチテーゼとして発生し、統一組織を持つことなく教派が分かれてきたためです。
その大きな理由は、神の御心は「聖書」を通して、個人的に知ることができ、個々人が神と直接交わることができるとするプロテスタントの信条からきていると言えるでしょう。
ですから、これからも同様に多くの教派が存在し続けることでしょう。

 

プロテスタントの主な教派

プロテスタントの主な教派は、いろいろな分類の仕方があるかも知れませんが、ここでは以下の7系統としてご紹介します。
さらにこの他にもいろいろな分派があり、またその流れに分類できない「単立」という個別に成長してきた教会もあります。

ここでのご紹介は、教会出席の予備知識に、と思って諸資料からまとめたものです。
同じ教派内の教会でも、それぞれの個性はありますし、それぞれの教派の大切にしている部分で捉えきれていないところがあることはお許しいただいて、あくまでご参考の一端として捉えていただけたら嬉しいです。

プロテスタント教会の大分類

  • ルター派(ルーテル教会)
  • 聖公会(アングリカン教会)
  • 改革派・長老派
  • 会衆派・組合派
  • バプテスト
  • メソジスト
  • ペンテコステ派

一通り、大まかに見ていきましょう。

 

1.ルター派(ルーテル教会)

ルターの宗教改革の伝統を受け継ぐ。

主な教団・教会日本福音ルーテル教会
日本ルーテル教団
西日本福音ルーテル教会
近畿福音ルーテル教会
日本ルーテル同胞教団
フェローシップ・ディコンリー福音教団
ルーテル福音キリスト教会 など
由来ドイツの宗教改革者マルチン・ルターの名前に由来する。
マルチン・ルターは、教会改革を目指して「九十五箇条の提題」を公表し、ローマ・カトリックから破門され、その後1555年にアウクスブルクの和議が成立し、ルター派はドイツ国内においてカトリックと同等の教会として公認されたことに由来する。
知られる団体ルーテル学院大学 など
サクラメント(聖礼典儀式)ローマ・カトリック教会の定める7つの秘跡のうち、洗礼式、聖餐式の2つのみを聖礼典とする。幼児洗礼を認める。
組織形態代議員による会議制、長老制、会衆制など様々な形態を取る。
聖職者は信徒同様結婚ができ、女性の牧師を認める教団もある。
マルティン・ルター
マルティン・ルター

特徴と教義

旧新約聖書だけを信仰の唯一の根源とする「聖書中心主義」。
ただ神の恵みのみ、個々の信仰によってのみすくわれる「信仰義認」。
人の媒介としてキリスト以外の仲介者を認めない「万人祭司」。

教会や礼拝の雰囲気

司祭の祭服や教会堂の雰囲気も、カトリック的な要素が強く残っていて、祭壇画やマリア像があるところもある(マリアを神格化しているわけでなく、神に対する謙虚な姿勢を評価してのこと)。聖壇にはろうそくを置くだけで、聖人像を置いたり崇拝したりはしない。

 

2.聖公会(アングリカン教会)

プロテスタントの中で最もローマ・カトリック教会に近い。

主な教団・教会日本聖公会
日本キリスト聖公会
由来聖公会は元々カトリック教会に属していたが、1534年、イングランド国王ヘンリー8世が自らの教会の首長として独立したことに由来し、現在でも君主(女王)を首長とする国教会である。
知られる団体聖路加国際病院 立教学院 神戸松蔭女子学院大学 など
サクラメント(聖礼典儀式)ローマ・カトリック教会の定める7つの秘跡のうち、洗礼式、聖餐式の2つのみを聖礼典とする。
他に堅信式、信徒按手式、聖職按手式、聖婚式、個人懺悔、病人按手式、塗油を行う。幼児洗礼を認める。
組織形態全世界の聖公会は管区の連合体であり、全管区が聖公会の最上席の聖職者であるカンタベリー大主教と同じ教理を分かち合う集合体(アングリカン・コミュニオン)として成り立ち、カンタベリー大主教は全聖公会の精神的指導者とされる。
立教学院講堂
立教学院講堂

特徴と教義

聖書の他に伝統的要素が色濃く残っている。1888年に採択されたランベス四綱領が指標。
旧新約聖書を拠り所にする。
ニケヤ信経と使徒信経を認める。
洗礼、聖餐の2サクラメントの重視。
主教、司祭、執事の三職位の順守。
飲酒喫煙は罪悪視しない。女性の司祭や主教も一部では認められている。

教会や礼拝の雰囲気

カトリックの様式が色濃く残っている教会もあれば、かなりモダンな教会もあり、多岐にわたる。しかし、聖壇には十字架とローソクを置くだけである。

 

3.改革派・長老派

16世紀、カルヴァンの宗教改革がルーツ。

主な教団・教会日本基督教団の一部
日本キリスト教会
日本キリスト改革派教会
在日大韓基督教会
日本長老教会
カンバーランド長老キリスト教会
大韓イエス教長老会 など
由来16世紀、ルターに少し遅れて、スイスで宗教改革を展開したジャン・カルヴァンの神学に基礎を置く。
知られる団体明治学院大学 東北学院大学 など
サクラメント(聖礼典儀式)洗礼式、聖餐式の2つのみを聖礼典とする。幼児洗礼を認める。
組織形態教会は、教職者である牧師と信徒から選ばれた長老が管理する形態。教会の上に地区ごとの中会があり、牧師の任命などを行う。
教職者は、信徒同様に結婚ができ、女性の牧師、長老を認める教団もある。
ハイデルベルグ信仰問答
『ハイデルベルグ信仰問答』は
改革派教会でよく用いられるカテキズム

特徴と教義

聖書のみを人間の思想と行動の唯一の指針としている。カルヴァンの神学では、人間は神の救済に預かる者とそうでない者が予め決められている(予定説)とする立場を取り、救いに選ばれた者がそのしるしとして、神の定めた職業生活と禁欲的な生活を送ることができるとした。
例えば、クリスチャンがお祝いをすると思われがちなクリスマスなども、聖書に記載がないという理由で、過去には法律で禁じたこともあるほど厳格な運営を行う一派もある。

教会や礼拝の雰囲気

総じて、説教が中心で、内容は論理的。
プログラムの形式に沿って行われる。

 

4.会衆派・組合派

伝統にはこだわらず自由と寛容さ、各自の個性を重要視する。全体の合意に基づく教会運営をおこなう。

主な教団・教会日本基督教団の一部
由来イングランドのエリザベス一世治下、国教会からの分離を主張した司祭ロバート・ブラウンを最初の指導者とする。1580年に最初の独立教会をイングランドのノリッジに設立した。
知られる団体同志社大学 神戸女学院 など
サクラメント(聖礼典儀式)洗礼式、聖餐式の2つのみを聖礼典とする。幼児洗礼を認める。
組織形態一切の外的な統制を受けない。それぞれの教会の自治と独立を尊重する。牧師の選択、任命権はその教会の全会衆に属する。教職は信徒と同様結婚でき、女性が牧会する教会もある。
新島襄
同志社大学を設立した新島襄

特徴と教義

カルヴァン主義神学を基本とするが、特定の信仰箇条は持たず、その教会のメンバーが認めれば、どんな思想でも受容する傾向にある。そのため伝統や枠組みにはこだわらない自由寛容な雰囲気がある。
社会的な活動に熱心な教会も多い。

教会や礼拝の雰囲気

概して会衆中心の自由でフランクな雰囲気で、儀式的な要素もあまりなく、礼拝中に信条や信仰告白を用いない教会も多い。

 

5.バプテスト

大衆的なプロテスタント

主な教団・教会日本バプテスト連盟
日本バプテスト同盟
日本バプテスト教会連合
日本バプテスト・バイブル・フェローシップ
保守バプテスト同盟
日本基督教団の一部 など
由来幼児洗礼を否定し、聖書に示された洗礼、バプテスマとは、信仰告白に基づく「浸礼」を示すとした教義に由来する。この立場に立って、イングランド国教会から分離し、アムステルダムに逃れたジョン・スマイスによって最初のバプテスト教会が設立された。
知られる団体関東学院大学 西南学院大学 など
サクラメント(聖礼典儀式)洗礼式、聖餐式の2つで、いずれも救いの手段ではなく象徴と捉える。幼児洗礼は認めない。
組織形態会衆制をとり、各教会の独立自治である。牧師の任命はその教会の会衆とし、執事は信徒から選ぶ。
バプテストの教職は、信徒と同様結婚ができ、女性が牧会する教会もある。
教会イメージ
一般的な「プロテスタント教会」の
イメージに近いかも…?

特徴と教義

聖書を信仰の基準とし、自覚的な信仰告白に基づく信者のみを教会員とする。たとえ信者の子供でも、自覚のない幼児の洗礼は認めない。洗礼は、全身を水で浸す「浸礼のみ」と主張する。アメリカを含む全世界での主流は、カルヴァン主義に立つ特定バプテスト派といわれる教派であり、万人祭司を徹底し個人の新生と伝道を強調する。

教会や礼拝の雰囲気

かなりフランクな雰囲気。教会堂はシンプルで、浸礼槽を備えている場合もある。儀式的な要素は少ない。説教は分かりやすく、礼拝中に読まれる式文は定形的で、祈祷に関しては自由。牧師以外の役員が司式を担当する場合もある。

 

6.メソジスト

「メソッド」を重んじる人

主な教団・教会日本ホーリネス教団
イムマヌエル綜合伝道団
ウェスレアン・ホーリネス教団
日本イエス・キリスト教団
基督兄弟団
基督聖協団
日本ナザレン教団
日本自由メソヂスト教団
日本フリーメソジスト教団
東京フリー・メソジスト教会
救世軍
チャーチ・オブ・ゴッド教団
日本宣教会
活水基督教団
日本基督教団の一部 など
名前の由来メソジストと言う名称は、行動すべてを方法的にきちんとこなす几帳面な生活態度に由来する。特に、イングランド国教司祭のジョン・ウェスレーがオックスフォード大学の宗教クラブのメンバーがこの名で呼ばれた。ウェスレーはメソジスト協会という名称を国教会内部の自分たちのグループに名付け、「聖書にいわれている方法(メッソド)に従って生きる人」と定義した。
知られる団体青山学院 関西学院大学 など
サクラメント(聖礼典儀式)洗礼式、聖餐式の2つで、いずれも救いの手段ではなく象徴と捉える。幼児洗礼を認める教会もある。
組織形態団体組織力が強く、所属団体から任命された教職者である牧師と、信徒から選ばれた長老が管理する教会が多い一方、団体を持たず、長老がいわゆる牧師の役目を務める教会もある。メソジスト特有のものに少人数の信徒グループ(クラス)があり、信仰上の訓練を行う単位として用いられた。複数の教会を組織して、伝道教区が形成されているのも、メソジスト教会の特徴のひとつである。
ジョン・ウェスレー
メソジスト教会のルーツは
ジョン・ウェスレー

特徴と教義

カルヴァン派の予定説とは真逆の、すべての人間の自由意志による救済を説く。
これは、オランダの改革派神学者アルミニウスが唱えたもので、人間は自らの意思で、神の救いを受け取ることも、拒絶することもできるとするもの。
人間の主体的な決断や回心体験、聖霊の働きを重んじ、道徳的で清廉な生活の実践を重んじる。

教会や礼拝の雰囲気

教団によって雰囲気は異なるが、どちらかというとフランクな雰囲気で、教会堂形式は様々。牧師の説教を中心としたプログラムであることが多い。

 

7.ペンテコステ派

直接的な神体験を重んじる。

主な教団・教会日本アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団
日本フォースクエア福音教団
日本チャーチオブゴッド教団
日本ユナイテッド・ペンテコステ教会
日本ペンテコステ教団
純福音日本国内教会
カルバリキリスト教団
ジーザスライフハウスチャーチ
シオン宣教団
日本福音ペンテコステ教団
日本フルゴスペル教団
日本ベテルミッション
聖霊刷新協議会 など
由来新約聖書、使徒行伝第二章に描かれた使徒に聖霊が下った聖霊降臨の日に由来する。現代のペンテコステ運動は19世紀にアメリカで起こったホーリネス運動を背景に、1900年アメリカのベテル聖書学校の大晦日祈祷会で数名の神学生が異言(神の賜物として与えられた言葉)を語りだした事に端を発し、この神学生が1907年に起こしたロサンジェルスでのリバイバル運動が世界中に広がった。
知られる団体世界で最も大きい単立教会は、韓国のソウルにあるヨイド純福音教会で、このペンテコステ派に属する。またオーストラリアのヒルソング教会なども有名である。
サクラメント(聖礼典儀式)洗礼式、聖餐式の2つで、いずれも救いの手段ではなく象徴と捉える。幼児洗礼は認めない。
組織形態いくつかの大きなグループがあり、個々に組織的な活動を行っていて、様々な形態を取る。
聖職者は信徒同様結婚ができ、女性の牧師を認める教団もある。
ワーシップ
世界中のメガ・チャーチと
言われる教会にも多い

特徴と教義

ペンテコステ派の最重要項目が「聖霊降臨」であり、今も働き続ける神の恵みと信じて、聖霊のバプテスマと呼んで、人々が聖霊の働きによって信仰の新しい次元に入る重要な機会ととらえる。多くの場合、異言を語ることが聖霊降臨、聖霊のバプテスマを受けたしるしと考える。

教会や礼拝の雰囲気

概して、自由な雰囲気と感情的な抑揚のある礼拝が多い。牧師のメッセージも分かりやすく、音楽での賛美は、どの派よりパワフル。

日本基督教団(日本キリスト教団)とは?

1941年、第二次世界大戦下の日本政府による宗教統制政策である「宗教団体法」により、当時日本全国にあった30余派の教団が一つの合同教会となり生まれた、プロテスタント最大のグループ。
戦後、教団を出た教会もあれば、そこに残った教会もあり、そのため様々な特色の教会が混在しているのが特徴。

最後に、「プロテスタントの3大原理」

プロテスタントの教派は、今見てきたように多種多様です。
皆さんが個々人に合う教会を見つけるお手伝いになれば嬉しいです。
一方で、多様性とは言えない、枠を超えた異端やカルトと言われるグループも中には存在しますので、注意は必要です。

下に記した「プロテスタントの3大原理」は、プロテスタントの教会が多様化していると言っても、一致した基本的原理だと言えます。これを表明している教会でしたら正統的な教会だと思いますので、早い段階で牧師さんや役員さんなどに尋ねてみるとよいでしょう。

  • 聖書のみ

    人が救われ、クリスチャン生活を送るための必要な教え、教会のあり方は、聖書のみを拠り所にするということです。
    人の言葉や、カリスマ的指導者による新しい啓示などが、聖書に代わって神の真理を伝えるものでは絶対にないということです。

  • 信仰のみ

    キリスト教の救いは行いではなく、信仰により神の恵みにより与えられるのです(信仰義認)。
    免罪符を買うことで、人々の救いを約束した当時のカトリック教会に対して異議を唱えたルターは、「神への正しい信仰にこそ救いがある」としました。

  • 万人祭司

    人は、神の前に平等であり、信仰者は皆、神の民であり祭司であるということです。
    教皇、司教など聖職者、あるいは牧師でも、それらの仲介がなければ救われないとする教義は間違いであり、自ら聖書を拠り所として自らの良心にしたがって信仰することにより、神の恵みによって救いが与えられるのです。

以上Pontaでした。


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  • 参考文献:なんでもわかるキリスト教辞典 八木谷涼子(朝日文庫)
私たちについて ―新生宣教団とは?―

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