ウクライナ訪問レポート2023年10月

ウクライナレポート
 
右がスタッフのタイラー・ローズ
右がスタッフのタイラー・ローズ

新生宣教団では2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、合計47万冊のウクライナ語聖書を印刷し、送り届けてきました。これらの聖書はウクライナやその周辺諸国で活動するミッションパートナー、ウクライナ聖書協会やニューライフ・ミニストリーズ・ノルウェーによって配布が行われています。

今年の10月に、弊社スタッフが、ウクライナで聖書配布を行っているミッションパートナーたちを訪問しました。
ウクライナを訪れたスタッフのタイラー・ローズに、ウクライナへの聖書と支援物資の配達の様子をレポートしてもらいました。どうぞお読みください!

ウクライナ訪問レポート

聖書をウクライナへ

空港からバンでウクライナへポーランドのルツェツォフ空港の外で待っていると、人道支援の看板を掲げたワゴン車の車列が走ってきて、私の前で停まりました。ウクライナへの3日間の旅の始まりです。
ワゴン車に積まれていたのは、暖かい冬服、消毒液、学校用のホワイトボード、そして新約聖書(合計27,100部)でした。ワゴン車の1台に乗り込み、私たちはウクライナ国境に向けて出発しました。

ウクライナの国境昼過ぎには国境に到着し、貨物を申告してわずか数時間後には通過することができました。5台のワゴン車をすべて税関で通関させた後、救援物資を降ろす為に向かったのは、リヴィウ市郊外にある新しい教会になる予定の建物でした。

ノルウェー人9人、アメリカ人1人、ウクライナ人5人で、ワゴン車から倉庫まで重たい箱を次々と渡しながら、教会の倉庫にすべての荷物を降ろしました。

リヴィウの教会に到着
荷降ろしの合間に、ウクライナの教会のメンバーの一人から、ウクライナの他の教会やグループに支援物資を供給した際に体験した事について話を聞くことができました。

彼女は、昨年の冬に教会が発電機と聖書を受け取った時のことを語り、牧師が「聖書をありがとう!」と言ったのをはっきりと覚えていると話してくれました。その体験は、冬の発電機のような重要なもの以上に、聖書がウクライナでどれほど必要とされ、求められているかを如実に物語っていました。

マンガを翻訳したローマンその夜、私たちを迎えてくれたヴォロジア牧師と、『マンガ メサイア』をウクライナ語に翻訳した息子のローマンと夕食を共にし、彼に印刷したての最初の一冊を渡す事ができました。

ウクライナの状況

翌日、ヴォロジア牧師は、戦争が始まる前に70万人以上が住んでいたリヴィウを案内してくれました。
リヴィウで一番印象的だったのは、そこでの生活がとても普通に見えたことでした。歩いていると、日常を楽しんでいる人々を多く見かけましたし、前日の夜には若者が広場に集まって踊ったり歌ったりしている姿も見られました。ここが本当に戦争中の国であることを示す唯一の物理的な痕跡は、地下室に光を入れる為の窓がある建物の壁に積み上げられた大きな土嚢くらいでしょうか。これは、ミサイル攻撃から避難している人々を守るためのもので、負傷したり死亡したりする人のほとんどは、ミサイルそのものではなく、攻撃によって被弾した建物から落ちてくる破片によるものだからです。

聖母教会短いツアーの間に、私たちはリヴィウ旧市街にある聖母教会を訪れました。そこで私たちは、ソビエト連邦時代にこの教会が宗教と無神論に関する博物館に変えられ、そこではソビエト連邦に存在する最後の聖書だと宣言された1冊の聖書のみが残されていたことを知りました。今はそんなことは全くなく、ウクライナにはたくさんの聖書がある(そしてもっと必要である)ことに感謝しています。

最後に足を運んだのは戦没者の墓地でした。ロシアの侵攻との戦いで亡くなったリヴィウ出身の兵士たちの墓で埋め尽くされた広大な敷地を歩くのは、心沈むつらい時間でした。
私たちがその場を去ろうとしたとき、年配の女性が一つの墓の隣に座り、戦死した息子の写真を見つめながら泣いているのが見えました。ヴォロジャ牧師と私たちは、彼女と彼女の家族のために祈ることができるかと尋ね、祈りました。ウクライナの多くの人々が、この戦争で家族を失うという想像を絶する現実に直面し、祈りを必要としています。

戦没者墓地

霊的・実質的支援

日本の新生宣教団は、ノルウェーのパートナーとの協力のもと、今年一年間で、50万冊近い聖書と新約聖書を印刷し、ウクライナに送りました。
今回の訪問では、その直接の受取先のひとつであるウクライナ聖書協会を訪問することができました。リヴィウにある聖書協会の倉庫では、ちょうど日本から送られてきた聖書をトラックから降ろしているところでした。これらの聖書が目的の場所に届けられている光景を見る事ができたのは素晴らしいことです。ここから、神の尊い御言葉を切実に必要としている人たちのために、ウクライナ全土に発送される予定です。
ちょうど届いた聖書を手にするウクライナ聖書協会のメンバーと

リヴィウの学校にも聖書を土曜日でしたが、私たちは学校を訪問し、クリスチャンの校長先生と、リヴィウのすべての学校の管理者である一人の信者の方と会う機会が与えられ、彼らに学校で使うホワイトボードと、聖書、ウクライナ語の『マンガ メサイア』の初版本を贈ることができました。そして彼らがどのように指導し、戦争のさなかにある生徒たちのニーズに応えているかを見る事ができました。空襲警報のサイレンが鳴り響く中、子供たちが避難しながらも学習できるように、教室内にも避難所が設けられていました。

交わり

教会での証ウクライナでの最後の日、私はヴォロジア牧師の教会で新生宣教団について分かち合う機会をいただきました。私たちの働きについて分かち合い、持参した聖書とマンガをプレゼントすることができて、とても幸せでした。

礼拝の直後、私は教会の年配の紳士に声をかけられ、紹介した『マンガ メサイア』を1冊求められました。彼の心に一番届く言語で渡すことができ、とても嬉しかったです。私たちが送った新約聖書と、まもなく届けられる聖書とマンガが、この教会だけでなく、ウクライナ全土の多くの人々にとって計り知れない祝福となることを祈ります。

国境を越えポーランドに戻る前に、私たちはヴォロジア牧師のワゴン車に新約聖書を積み込みました。翌日、彼がキエフで開かれる牧師の集会に新約聖書を持って行くためです。今このレポートを書いている間にも、すでにウクライナ全土に9,000部以上の新約聖書を送ったとのことで、私たちが持参した新約聖書を受け取った牧師たちの写真が彼から送られてきました。

聖書を受け取るウクライナの人々

個人的な祈りのリクエスト

私たちが印刷した聖書が、必要としている人たちの手に直接届くところを見ることができたのは、私にとって祝福でした。
戦争という現実に耐えながら、主にあって強く生きるウクライナのクリスチャンの兄弟姉妹に出会えたことにとても励まされました。リヴィウは戦争の最前線ではありませんが、ウクライナ東部の最前線で戦っている知人がいる人々に多く出会いました。私たちの訪問中、ダンという若いウクライナ人学生が通訳を手伝ってくれたのですが、話をするうちに、彼の2人の兄がバフムトで戦っていることを知りました。バフムトは、特に今年、最も戦闘が激しかった地域のひとつです。兄の1人は生存が確認されていますが、もう1人は3月以来MIA(戦闘中行方不明)とされています。言うまでもなく、非常に厳しい状況です。

写真右:ダン、左:リヴィウの教会にて

ダンと彼の家族のために祈ってください。彼らが通っている苦難に寄り添うことは本当に難しい事ですが、同じクリスチャンとして、体の一部が傷ついているならば、体全体が傷ついていることを知っています(1コリント12:26)。ウクライナの平和のために祈るとき、この兄弟とその家族を思い出してください。彼の置かれている状況は、この恐ろしい戦争における他の多くの人々と同じです。

ウクライナのために祈り続けてください。戦争が始まって1年半以上経ちますが、肉体的にも霊的にも、まだ大きな必要があります。

 

ウクライナの兄弟姉妹を覚えてお祈りください

実際にウクライナの人々に聖書が届けられていることを見ることができ感謝です。
それと同時に、今も現地の人々が愛する家族や友人を失っているという厳しい現実も感じました。
皆さまのお祈りとご支援によってこの働きを行うことができていることを感謝します。

新生宣教団ではウクライナ語聖書印刷のために必要な資金のうち、6万冊分にあたる2600万円を負担しています。
残りの必要額は1875万6千円です(11/15現在)。聖書はすでに発送しましたが、このためのご支援を引き続き募っています。どうぞお祈りとご支援をよろしくお願いいたします。

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ABOUT US

新生宣教団は、日本をはじめ世界の人々のために、各国の言葉で聖書や福音文書などを印刷するキリスト教プロテスタントの宣教団体です。
新生宣教団はキリスト教超教派の団体として、1954年に「新生運動協力会」として設立されて以来、児童伝道、放送伝道、文書伝道などを行ってきました。今ではこれらの活動は文書伝道(印刷)に集約されています。
いつの時代も聖書を求める声がなくなることはなく、私たちはそんな切なる求めに応えるべく、国内外のミッションパートナーと協力して力を尽くしています。
私たちの目標は、神の愛によって日本が変えられること、そして全世界に聖書の御言葉が届けられることです。

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